ONEDOG:壁打翻訳手習帳

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アメリカ政界の背後でもっとも影響力のある億万長者20人

 政治とビジネスは常に切っても切れない関係にある。

 ブルッキングス研究所は、米国億万長者の政界への影響力ランキングを発表した。
 これら億万長者の政界への影響力は、「選挙活動資金への資金的援助、NPOや財団を通じた活動、公職への就任、メディアの所有、政治思潮におけるリーダーシップ、裏舞台での影響力」といった点によって評価された。

20位 Alice Waltonウォルマート創業一族)
 ウォルマート創業一族の一人であり、ヒラリー・クリントンの2016年大統領選挙出馬に向けた"Ready for Hillary" 特別政治活動委員会スーパーPAC)の初期からの後援者である。
19位 Donald Trump(実業家)
 マルチメディアの帝王として数多くの政治的問題への発言を繰り返し、保守層から多くの支持を集めることに成功している。
18位 Marc Andreessen(Netscape
 2012年には共和党の大統領候補Mitt Romneyを支援した。ジャーナリズムの将来、特に伝統的メディアからデジタルメディアへの迅速な移行に関心を寄せている。
17位 Peter G. Peterson(投資家)
 政府の負債削減の論者であり、負債解決を訴える超党派組織「責任ある連邦予算委員会」へ資金提供を自らの財団と共におこなっている。
16位 Paul Singer(投資家)
 保守的な共和党員として知られているが、同性婚を支持してきており、”American Unity”と呼ばれる政治活動委員会を持っている。この委員会は、同性婚を支持する共和党国会議員への200万ドルの支援をおこなっている。
15位 Art Pope(実業家)
 最近までノースカロライナ州の財政長官を務め、同州での共和党復権に影響を与えている。
14位 Pierre and Pamela Omidyar(eBay)
 米国の監視システムに対して批判的であり、彼らの財団は、政府の透明化、財産権、経済発展といった課題に取り組んでいる。
13位 Jeff and Mackenzie Bezos(Amazon
 最近ワシントンポストを手に入れ、ワシントン州同性婚についての住民投票へ250万ドルの支援をおこなっている。
12位 Mark Zuckerberg(Facebook
 自らの政治団体”FWD.us"と移民制度改革に取り組んでおり、ニュージャージー州ニューアークの学校改革を進めている。
11位 Peter Thiel(PayPal
 共和党ロン・ポールの特別政治活動委員会へ260万ドルの支援を2012年にはおこない、最近では最低賃金引き上げへの支援を表明している。
10位 Warren Buffett(投資家)
 一貫してオバマ大統領を強く支持しており、富裕層への増税を主張している。
9位 Penny Pritzker(不動産)
 オバマ支持者であり、彼の政権において商務省長官を務めた。
8位 John and Laura Arnold(投資家)
 労働者への支出を増やし年金への支出を減らすことを目的に州議会議員への数百万ドルの支援をおこなっている。
7位 Bill and Melinda Gates(Microsoft
 ビル&メリンダ・ゲイツ財団は教育改革に巨大な影響力がある。ワシントン州住民投票においては同性婚に10万ドルの支援をおこなっている。
6位 Rupert Murdoch(実業家)
 二つの有力な報道組織、ウォールストリートジャーナル紙とフォックスニュースの両方を所有している。加えて、ブルームバーグと移民制度改革に取り組んでいる。
5位 George Soros(投資家)
 2012年の大統領選挙ではオバマ陣営へ100万ドルの寄付をおこなっており、"Ready for Hillary" 特別政治活動委員会では共同財務議長に就任している。
4位 Sheldon Adelson(実業家)
 2012年の大統領選挙では反バラク・オバマキャンペーンに9300万ドルもの巨額を投じたが、次回の選挙では倍額を投じると表明している。
3位 Tom Steyer(投資家)
 気候変動問題に関心を寄せており、一般への啓蒙に尽力している。
2位 Michael Bloomberg(実業家)
 全米ライフル協会へ5000万ドルの寄付を自身の特別政治活動委員会Independence USAを通じておこなっている。他にも、「銃の不法所持に反対する市長の会」、「銃器安全取扱ルール普及活動」、「新しいアメリカ経済のためのパートナーシップ」といったNPOを持っている。
1位 Charles and David Koch(実業家)
 いくつかの州の弱みを抱えた民主党上院議員を狙った広告キャンペーンのために3000万ドルの支援をおこなっており、国民選挙日までに総額は2億9千万ドルに達するとみられている。また、オバマ医療保険制度改革に対しても反対キャンペーンを繰り広げている。

 ビジネス・インサイダーの記事から。眺めていると、アメリカの色々な面が見えてくる。政治資金の流れや政治団体を通じた影響力の行使、メディアと政治と経済、ネガティブ・キャンペーン同性婚・教育・移民・銃規制などの社会問題。そして、貧富の格差。

 そもそも、これらの億万長者の資産は桁外れで、アメリカの貧富の格差は日本の比ではない。それだけに、社会的にも貢献が求められるし、やろうとすれば金の力でこんなことまでできてしまう訳である。それでも、世界を一気に変えるほどのことをできるわけではない。ビル・ゲイツも以前に自身の財団の活動方針について語っていたが、影響力が広く何倍にも波及するように資金を投じることが重要になるのだろう。

 こういうランキングを作ることがアメリカ人は大好きだし、得意だ。ランキングの作り方にも当然異論も色々あるのだろうし、ランキングの意義についても色々な意見はあるだろう。それでも、シンクタンクなどが評価手法を検討して、こうしてランキングという形でまとめてると、見る人一人一人が様々なことを考えるきっかけになることは確かである。