ONEDOG:壁打翻訳手習帳

手習い故、至らぬところは御容赦。更新は、Twitterアカウント @0ned0g でお知らせします。

JARGON WATCH

Wired 誌の2014年9月号から。毎月掲載されている、テクノロジー関連の新語を紹介するコーナー。

plastiglomerate n.
岩のかけらと貝殻が溶けたプラスチックのクズでくっついてできた新種の石。ハワイの汚染された海岸に堆積しているのを地質学者が発見。大きな塊は数千年もつかもしれない。

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nanodegree n.
アプリ開発技術分野における企業も認定する学位。大規模オープンオンライン講座プラットフォームであるUdacityが初のnanodegreeを提供しており、半年から1年のパートタイムのオンライン授業を月数百ドルの費用で受講することが取得にあたり求められる。

UdacityのHP

smorphs n.pl.
「スマート=高性能」で、「モーフィング=変形」可能な、「サーフェス=表面」という意味で名付けられた。ぐにゃりとした柔らかいシリコンラバーの上に硬いが柔軟性もあるシリコンラバーの層を積み重ねることで作成され、表面を滑らかな状態から窪んだ状態へと変形することで空気力学上の効果をあげることができる。この変形シフトは、内部の圧力を変えて吸引することで引き起こされる。エンジニアは建物をハリケーンから守るために使用することを検討している。


Morphable surfaces at MIT - YouTube

brobots n.pl.
以前には科学論文で「磁力精子(MagnetoSperm)」と呼ばれていたが、このロボットは尻尾をくねらせて移動や方向転換をおこなう。大きさは人間の精子細胞の6倍であり、磁力によりコントロールすることで、血管を通じた生体組織検査やドラッグ・デリバリーがいつか可能になるかもしれない。

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 環境汚染が生み出した現在の化石。実際に仕事の役に立たないにもかかわらず、高額の費用と長い時間がかかる現在の高等教育へ投げかけられた疑問符。飛行機の性能や燃費を大きく改善させる可能性も秘めた変化する肌理の表面。驚くほど小型でシンプルであることに加えて、人体の外側からでも自由に制御できそうな磁力によるコントロール。大きな可能性とインパクトがありそうで、どれも刺激的な新語ですね。単語としては、無理に訳そうとしてもうまくいかなさそうだし、普及しても、日本語ではそのままカタカナになるものも多そうです。試訳としては、「プラスチック凝集体、プラスチックアグロメレート」、「ナノ学位」、「機能性変形材料、スモーフス」、「ブロボット」と言ったところでしょうか。"brobot"には「人をやたらと"dude"、"bro" 、"dudebro"と呼びたがる人々」という学生スラングの意味があるようです。このデバイスのどこかユーモラスな姿に、その間の抜けたニュアンスを重ねて名付けられたのかもしれません。