ONEDOG:壁打翻訳手習帳

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経済状況と高齢化社会の観点から『アベノミクス』を選択した日本をグラフで見る

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日本はアメリカと中国に次ぐ世界3位の経済大国であり、各地域が大きな国に匹敵する経済規模である。例えば、東京を含めた関東地方は、経済規模においてブラジル一国とほぼ同じ。しかし、この「失われた20年間」の間、日本経済は成長していない。その間にアメリカ経済は3倍になり、中国経済は爆発的に成長した。2006年から2007年にかけて総理大臣を短期間務めた後、安倍晋三は2012年に総理大臣に復帰し、いわゆるアベノミクスの「三本の矢」と呼ばれる、景気刺激、金融緩和、構造改革からなる大胆な三本柱の政策を掲げた。12月14日、衆議院選挙において多数の有権者自民党を選択し、安倍総理の政策は世論の支持を勝ち取った。

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第一の矢として、政府は景気刺激のために10兆円(840億ドル)を投じた。第二の矢として、日本銀行はバランスシートを膨張させることを受け入れ、資本を投下。日本の株式市場はこれを歓迎した。しかし、前政権は来たる4月に消費税増税を予定していた。安倍総理増税実施の判断を迫られたとき、需要は落ち込みGDPが減少していることが明らかになった。その結果、安倍総理は2015年に予定していた第二段階の増税を先送りせざるをえず、経済政策への信を国民に問うことになった。

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この20年間というもの、殆ど成長もない中で政府支出を迫られた結果、日本は世界最大の負債を抱えることになった。その負債額はGDPの2.5倍近くに迫り、世界の発展途上国が抱える負債の2倍以上である。従って、第三の矢である構造改革が鍵を握る。旧態依然とした規制を廃止し、国内外で企業が競争に参加できるようにすることで、始めて日本の経済は持続的な成長を果たすことができるからだ。安倍総理が、彼の経済政策と相反するにもかかわらず、最初の消費税増税を進めたのも、財政への懸念が理由である。

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日本の大きな足枷が高齢化と人口減少だ。現在の人口は1億2700万人だが、出生率が低いため、今世紀半ばには1億人を切ると予測されている。すでに若者よりも老人が多く、この傾向は今後数十年に渡りますます進む。その結果、経済に2つの問題が生じる。第1に、成長を担い公共サービスの原資となる税金を払う労働者が減っていく。第2に、高齢者が増えれば、年金とヘルスケアで公的負担の費用が増加する。

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12月14日、安倍総理の率いる自民党衆議院選挙で多数派を維持した。これは、5年前に民主党が地滑り的勝利をあげ、終わることがないようにも思えた半世紀に及ぶ自民党の支配を打破したこととは、正反対の動きにみえる。しかし、民主党には経済運営能力がなく、2011年の大震災、津波福島原発事故からの復興行政においても素人ぶりを露呈したため、多くの有権者自民党を選んだ。アベノミクスは、以前の非効率な自民党の経済政策への決別を誓っている。安倍総理と日本に突きつけられている課題とは、選挙によって再確認された信任のもとで、第3の矢である構造改革を実施できるかどうかということだ。