ONEDOG:壁打翻訳手習帳

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あのドレスが白と金に見える理由

ネット上の大騒ぎを科学的に説明する

木曜日の夜、色の分類ができないドレスをめぐって、インターネット上の声は真っ二つに分かれた。これは、白と金なのか、黒と青なのか?

 

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シアトルのワシントン大学で色覚を研究するジェイ・ナイツは、「30年間にわたって色覚の個人差を研究してきたが、今まで見たなかでも、これは個人差がもっとも現れたケースの一つだ」と語っている。

 

しかし、実際の目の生理学的な働きだけでなく、このドレスをどう見るかということを併せて考えなければならないだろう。ナイツによれば、各人の眼球の水晶体は、年齢を重ねるにつれ変化する。年を取ると、青い光に対する感度は低下する。年齢の高いネットユーザーほど白と金に見えるということは、これで説明できるかもしれない。しかし、年齢とあのドレスに対する認識結果についてしっかりしたデータがないので、この仮説はまだ証明できたとは言えない。

 

同時に、この議論においては、あのドレスがどのように撮影されたかということが重要なポイントになる。サイエンスデイリーによると、人間の視覚には色彩恒常という性質がある。つまり、明るいところや淡い明かりの下では色は容易に判別できるが、照明に色がついていると事情は異なる。

 

「照明条件が変わると、物体で反射される光の波長分布もかなり変化する。物体自体の色には何の変化がなくてもだ」とサイエンスデイリーは述べている。

 

すなわち、青みがかった照明下であの写真が撮影されていれば、ドレスの青色は白く反射する。そして、実際にドレスが青と黒であっても、照明によって白と金に見える人もいるのだ。

 

しかし、専門家は、あのドレスの色を正しく判別できるのは、その場で自分の目で見た人だけだ、ということで一致している。

 

カラーマネジメントに携わった経験のある人なら、デジタル画像には様々な要素が関わっていることを知っている。スクリーンの輝度とコントラスト、カラーキャリブレーションICCプロファイル、ディスプレイの部材のタイプとそれに応じた照明方式、そして、周囲の照明環境などが、デジタル画像の見え方には関わっている」と、10年近い経験を持つウェブデザイナーは言う。

 

「画面上で見れば、どちらという人もいるよ」

 

 

 

テイラー・スイフトは「青と黒」派だそうですが、私は「白と金」派ですw。”Seeing is believing”と言いますが、視覚というのは意外に当てにならないものですね。自分の目にはこうとしか見えないのに、それとはまったく違う見え方をしているという人がいて、何を言っても水掛け論にしかならないというのはショッキングですし、それがこの騒動の面白さですね。撮影対象、撮影環境、撮影機器の特性、画像処理、画像表示機器の特性、見る人の視覚特性、と考えてみれば、一つのデジタル画像を見るまでには数多くのプロセスと要素が介在しています。それでも、これだけ「白と金」に見える人もいれば、「青と黒」に見える人もいるというのは、デバイスや環境だけに起因する問題なのでしょうか。こうした外部要因と個人差は、それぞれどの程度影響しているのでしょうか。さらにきちんとした科学的分析の結果が知りたいものです。

 

追記:このドレスは「青と黒」だったようです・・・。信じられません・・・。