ONEDOG:壁打翻訳手習帳

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「バーニング・マン」の宴は終わり、法的処理が始まる

ネバダブラックロック発)

 

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ペンライトも、フェイクファーのレッグウォーマーも、そして砂を固めたテントも、みなどこかへ行ってしまった。野獣やボートを模して飾られた車も走り去り、ブラックロック砂漠で先週開催された雑多なアートパーティー、「バーニング・マン」が今年も終わった。

 

しかし、浮かれ騒いでいたものの中には、まだパーティーが砂に消えた思い出になっていない者もいる。大勢の警察官により、600以上の出廷通告が渡され、数十人が逮捕された。ほとんどの逮捕者は、裸同然の格好でふざけ回る砂漠の大騒ぎを万華鏡のような冒険と思わせる幻覚剤のような違法薬物の所有によるものだ。

 

要するに、パーティーは終わったが、地元の法廷、弁護士、捕まった参加者にとっては、頭の痛い話は始まったばかりなのだ。

 

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フェスティバルが開催されたネバダ州北西に位置する郊外の谷間、パーシング郡の警察署によると、バーナーと呼ばれるイベント参加者のうち40人以上が逮捕された。警察と共にこのイベントの監視責任を持つ連邦機関である土地管理局のスポークスマン、ルディ・エヴンソンは、出頭で払う罰金は100ドルから500ドルの範囲だという。罪状は、不法なゴミ投棄や薬物の所持・使用などである。

 

雨期には浅い湖となるこの乾燥地帯はプラヤとして知られるが、ここに推定7万人を集めるこのフェスティバルの主催者は、逮捕者が比較的少なかったと喜んでいた。というのも、パーシング郡の新しい保安官、ジェリー・アレンによって厳しい取り締まりがおこなわれるのではないかと恐れていたからだ。アレン保安官は、前任者と比べて、自分の管区内で開かれるこのレイブに対して明らかにより厳しい姿勢をとっていた。

 

イベント開催前の地元新聞リノ・ガゼット・ジャーナルのインタビューで、アレン保安官は「我々は、プラヤに集まる裸の7万人に召喚状を発行するだけの人手を持っていないが、法律を駆使してできるだけのことはするだろう」と答えていた。

 

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宴の後の後片付けは進んでいるが、火の粉がおさまっていない者もいる。ネバダ州リノ市の弁護士、ジョン・B・ローサイスは、バーニング・マン参加者を10年以上に渡り弁護しているグループの仕事として、参加者を代表している。毎年、彼は連邦検察官と交渉し、弁護依頼人であるバーナーの訴追を軽減しようとしてきたが、依頼人は例年約60人に上る。

 

ローサイスは、「参加者は、バーニング・マンを体験するためにここへやってきて、通過儀礼の一部として、麻薬や幻覚剤を相伴することもあるだろう。それに対して、かつてはなかったような重い処罰を受けることが今はある」

 

最近では、連邦政府ではなく地元により逮捕が執行されることが多いが、これはバーナーにとっては良い話ではない。ネバダ州では、少量のドラッグに対しても長期の懲役実刑が義務づけられている。とはいっても、過去の実例から見て、裁判官が参加者に対して重罪を言い渡すことはほとんどなかった。

 

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ローサイスの依頼主の一人、パメラ・ジェンキンス(35)はラスベガスのカップケーキ店のオーナーだ。イベント会場のすぐ西のワショー郡の交差点で彼女の車を嗅ぎつけた警察犬に吠えられたおかげで、フェスティバルの開始とともに彼女は捕まった。ドラッグの所有やレベル3のドラッグ売買を含む何件かの罪状で、ジェンキンスは懲役25年の重罪処罰に直面した。罪状の一つは、車内にドラッグと一緒に7歳の子供を連れていたことだ。警察によれば、「相当な量」の(マジックマッシュルームに含まれる)サイロシビンと別の幻覚剤、ジメチルトリブタミン(DMT)が車内にあったという。

 

ローサイスを通じて、ジェンキンスは告訴に対する落胆を示している。電子メールの声明で、彼女は「家族や友人と私はバーニング・マンに参加することで、意識を高め、より良い人間になろうとしていたのです」と述べている。

 

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違法行為の中には文化的な軋轢により生じたものもあるだろう。2012年にインターネットフォーラムのReeditに投稿されたケースでは、あるバーナーは、12歳の息子に裸になることを許可したために保安官代理に児童監督不行届で逮捕されたことがあると述べている。

 

パーシング郡の監獄を思い出しながら、この父親は「その夜はラブロックで明かしたが、5600ドルの保釈金を支払うために、保釈保証人に885ドルを支払った」と書き込んでいる。

 

しかし、遠方の各地からこのフェスティバルを訪れる多くの参加者は、バーニング・マンから約3時間もかかるリノのような所にある法廷に戻ってくることはできないので、告訴に対してわざわざ争わず、金を払って済ますことなる。このプラヤでは公知の禁句となっているが、このフェスティバルはこの地域の収入源であり、この土地を使用するためにも多額の費用を支払っている。

 

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それでも、ほとんどの人の意見では、今年の御役所の法執行は寛容なものだった。かつては、プラヤへの道中で多くのバーナーが通過する近隣のモノ郡は、フェスティバルの期間中に道路のパトロールを行うため、多くの臨時警官を雇用までして、いかなる無軌道な行為も捕まえてやろうと手ぐすねを引いていた。新任のモノ郡保安官、イングリッド・ブラウンはこの施策を撤廃した。

 

ブラウン保安官は電子メールでこう答えている。「我々は、バーニング・マンに行く旅行者を、他の旅行者と同じように遇しますし、バーニング・マンの開催中、取り締まりを強化する必要もないと思います。我が郡は経済を潤すため観光に依存しているので、すべての旅行者は大切です」

 

フェスティバルは、「レンジャース」と名付けた700人のチームを結成し、ブラックロックシティと呼ばれる臨時のキャンプ地を見回る。フェスティバルのスポークスマン、ジム・グラハムは、「ブラックロックシティはあらゆる州および連邦の法律を遵守する」と語る。参加者は、「適切な行動をとるように」と注意されている。

 

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バーニング・マンは、例年通り、人の姿をした巨大な人形のドラマティックな篝火で最高潮に達し、先週末終了した。ユニフォーム姿の一団として立ち入り、プラヤをパトロールした120名以上の法執行官には、地元の保安官代理だけではなく、米国森林局、米国国立公園局からも加わっている。奇妙な格好をしたバーナーの中には、銀色のペイント以外何も身につけていない年配の男たちもいるが、彼らはそのバーナーの間を縫うように動き回り、安全に関する心得の伝達や酩酊したバイク乗りに対する警告をおこなった。彼らは秩序の下で実に格好良かった。

 

土地管理局のスポークスマン、エヴンソンは、「人々が彼らのテーマキャンプに招待したら、招待を受けなさい。制服で適切なことであれば、彼らの行動にも参加します」と言っている。

 

ある執行官はバッド・アドバイス・ブースのパフォーマンスアートにまで参加したと彼は言う。シフトの休憩時間を、ブースのお客にドラッグを勧めて過ごしたのだそうだ。

 

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 以前、テレビで壁にぶち当たった役者さんがこのイベントを訪れるというドキュメンタリーを見たことがあったのですが、アメリカのこうしたヒッピー文化の影響を引き継いでいるイベントの運営は大変そうだなと思いましたが、やはり、実際に毎年数十人の逮捕者を出しながら続いてるんですね。日本では想像しにくいですが、日本版も開かれるようです

 

LOVE&PEACEなマッドマックスの世界という感じですね、これは。フジロックに来ている外人も元気な人多いですが、これはあんなものではないですね。単なる見物人ではなく、自ら参加することが求められるようなので、ネバダの砂漠までキャンピングカーを走らせて参加するのは大変そうですが、確かに一度行くと人生観が変わるかもしれません。

 

Wikipedia

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