ONEDOG:壁打翻訳手習帳

手習い故、至らぬところは御容赦。更新は、Twitterアカウント @0ned0g でお知らせします。

アメリカ横断に挑むヒッチハイクロボに会いに行こう

f:id:onedog:20150804231907j:plain


その名もヒッチBOT

親指を天に向けて突きあげ、デジタルの顔に笑みを浮かべながら、カナダの二人の研究者の手によるロボットがアメリカ横断ヒッチハイクの旅に出かけようとしている。

 

ヒッチBOTと名付けられたこのヒューマノイド・ロボットは、見知らぬ人の親切と好奇心のおかげで、すでにカナダとヨーロッパを横断してきた。金曜日には、マサチューセッツ州セイラムから出発し、夢のサンフランシスコへ向けて初のアメリカツアーを開始する。

 

道すがら、タイムス・スクェア、ラシュモア山、グランド・キャニオンといったアメリカを代表する場所にも立ち寄りたいと考えている。

 

この子供サイズのロボットは自分自身では動くことができないので、ある地点から別の地点まで見知らぬ人に引きずってもらうことになる。旅行者は、誰か出会った人にこのロボットを引き継いでもよいし、ガソリンスタンドや商店にこのロボットを置いていってもよい。ロボットの親指を上げさせ、スタンドを立ててやれば、ロボットと別れることができる。

 

できれば、ドライバーは交通量の多いところに置き去りにせず、バッテリーが低下したら充電してあげてほしいと製作者は願っている。それ以外にルールはない。

 

f:id:onedog:20150804232629j:plain

 

製作者の一人で、トロントのライアソン大学の職業的コミュニケーション論の准教授であるフローク・ツェラーは、「こうしたテクノロジーを任されたときに、人々がどう反応するかを見てみたいのです」と言う。「これは大胆なアート・プロジェクトです。人々に参加してもらうのです」

 

外見上、ヒッチBOTはパフォーマンスをするためではなくおもちゃとして作られたように見える。バケツの胴体に、黄色いガーデニング用の手袋を曲がりやすいラバーの腕に被せ、お似合いのゴムのブーツを履いている。製作者によれば、このおどけた格好は意図的なもので、親しみやすく見せ、盗難の可能性を避けるためだという。

 

「見かけが実にローテクなので、ガレージセール風だと言っていました」と語るのは、もう一人の製作者であり、オンタリオ州ハミルトンのマックマスター大学のコミュニケーション研究の助教授であるデビッド・ハリスだ。「頭は本当にアクリルのケーキの蓋なんです」

 

このロボットは、旅の道連れにおしゃべりができるように設計されており、ちょっとした情報を提供したり、限られた範囲の会話をすることができる。製作者は、このロボットは魅力があって小生意気だという。

 

これまでのところ、ロボットになにか非道いことがされるという徴候はないが、そうならないという保証もない。製作者たちは、この問題から意図的に目を背けている。

 

「このロボットには監視技術は使わないように、とても気を使っています。それは私たちがやりたいことではないのです」とハリスは言う。

 

ロボットに付いているGPSは位置を辿ることができるし、約20分ごとに旅の様子を知らせるためランダムなスナップショットをカメラは撮影する。しかし、ロボットのチームは、ヒッチBOTが熱心なファンを集めているソーシャルメディアに投稿する前に、写真に写っている人の許可を得るようにしている。

 

このロボットをツイッター上で3万人以上がフォローしているし、ロボットとの自撮りを何十人もが投稿している。研究者は、人間を助けるために作られたこれまでのロボットではなく、人間の助けを必要とするロボットとどのように人々が接するかということを研究するためにソーシャルメディアからデータを集めている。

 

ここで問うているなかでも重要な問題は、ロボットは人間を信用することができるかということだと、ツェラーは言う。

 

これまでの旅行で、このロボットはコミックの集会や結婚式にも出席し、オランダでは肖像画も描かれた。ヘビーメタルバンドと一週間過ごしたこともある。

 

カナダでの大陸横断旅行は26日を費やし、移動距離は6000マイル以上に及んだ。アメリカ旅行を前にして、研究者も、何日かかるか分からないし、道中何が起こるかも分からない。

 

「我々は、なにか物語の要素があること、冒険の要素があることをやりたいんです」とハリスは言う。「何が起こるのか、本当に分かりません」

 

f:id:onedog:20150804231930j:plain

 

このロボットが無事に夢のサンフランシスコに到着できるかどうか心配でしたが、昨日壊されてしまったようです。欧州やカナダはともかく、アメリカは駄目じゃないのかという気はしていましたが・・・。むしろ、良く2週間もアメリカを旅できたな、という気がします。

 

この話を聞いて、すぐに思い出したのは、江戸時代の金比羅参りです。当時忙しくて自分で金比羅参りにいけない人の中には、代わりに自分の飼い犬にお参りに行ってもらった人もいたそうです。このヒッチBOTも日本で金比羅参りをすればよかったのにと思います。

R.I.P.